Wednesday, May 30, 2007

WATARIDORI

衛星第2放送でWATARIDORI を観た。原題はLe peuple migrateur つまり「渡る人々」。季節にしたがって長距離の移動をくりかえす「鳥の人々」を追ったドキュメンタリーだ。公開時に見逃していて、もちろんいまでは観る気があればDVDを借りてきて観られるのだが、その機会を逸していた。そういうことは多くて、結局「時間がない」を逃げ口上にしている気がする。

考えられないような撮影をおこなっている。撮影時に、群れの中に超軽量飛行機が入っていっても驚かないよう、鳥たちをたくさん雛から育てたという話には感動した。ここまで徹底的に、地球規模の渡りを映像で捉えるとは!

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=3163

群れがいっせいに飛び、水に潜り、ふりむく。その行動ぶりを見ていると、「群衆」の秘密にどこか迫れそうな気がしてくる。いまはちょうど立教の大学院(異文化コミュニケーション研究科の「比較文化論」)でエリアス・カネッティの『群衆と権力』を読んでいて、動物の一斉行動の意味を考えていたので、余計に興味深かった。

一斉行動は、必ず「生き延びること」という至上の命令とむすびついているはずだ。個性は、<はみだし>は、人間のお得意だが、もともとは危険きわまりない行動だろう。それは種内のディスプレイであり、威信につながるかもしれないが、それは捕食者のいない種の贅沢にすぎない。

するとこんどは<ファッション>という現象が、生存と危険な賭けの、混合のように見えてくる。

鳥の身体はあまりに完成されているが、特にその色合い、デザインが、種ごとにどうやってできたのかが不思議でたまらない。

No comments: